お粗末コロナ施策は続くよ~どこまでも

毎朝、テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」で玉川徹さんの歯に衣着せぬ政治や行政に対するコメントを聴いている。最近はコロナワクチン3回目の遅さをガンガン批判してくれている。そのとおりだ。実際、医療従事者である私も、3回目接種はまだである。

<コロナワクチン価格の後手後手施策>

そもそも、昨年コロナワクチン接種1回約2000円に設定し、あまりの低価格で各医療機関が消極的だったことにあわてた政府が、加算料金(1週当たり接種人数〇〇人以上なら、〇〇円を追加するなど諸条件を新設定)作戦で医療機関の接種意欲を高めたことは、いかにも医療現場―特に医院経営する開業医の現状―をまるで知らない厚生労働省の官僚たちの考えそうなことだ。コロナワクチンは、保管や注射充填など扱いがほかのワクチンに比べ格段に手間がかかる。価格も、インフルエンザワクチンの約3500円~約5000円と比べ、当初設定の基本価格は安さ爆発であった。

<政府はPCR検査を減らしたいのか>

 おまけに、最近、厚生労働省が「空気を読まぬ」診療報酬価格ダウンを発表。新型コロナウイルス感染診断に不可欠なPCR検査や抗原検査の価格が大幅に下げられた(新年から適用)。コロナ収束→終息が明白な状況になっているならともかく、これからオミクロン株による第6波が襲来しそうなこの時期に、である。通常、PCR検査は、我々開業医は自前の検査機械は持たず、外部検査会社へ委託しているが、その委託料は高額で、「診療報酬-委託料」が収益となる(上記の2021年12月21日付け朝日新聞「声」投稿記事参照←同じ開業医として全く同感)。今回、当院が契約している検査会社が委託料を引き下げてくれることになったが、それでも収益大幅ダウンは避けられない。今後PCR検査からの「撤退」を検討しながら診療所経営を続けることとなる。

<キャリア官僚とは>

厚生労働省の中で一定の勢力を持つ医系技官グループについて述べよう。

その前に、簡単に「官僚」入門編を。一口にキャリア官僚と言っても職種は多数ある。「法律」「経済」「行政」の文科系試験合格者(私は「経済職」だった)がキャリア事務官(←狭義のキャリア官僚と言えるかもしれない)で、最も優遇され、出世しやすい。その主流が東大法学部卒の連中だ。ちなみに、私は1980年農林水産省入省事務官だが、同期は14人いて、その学歴内訳は、東大法7人、東大経2人、東大教養1人、東大工1人(私のこと)、京大法2人、早稲田法1人であった。

<キャリア官僚の試験区分>

 広義のキャリア官僚として、「化学」「物理」「土木」「建築」「機械」「農学」「農業経済」「農業土木」「林学」など大学の理学部・工学部・農学部等の諸学科にほぼ対応した試験区分があり、上記の「法律」「経済」「行政」職が事務官と呼ばれるのに対して、これら理系グループ(「心理」職もある)は技官と呼ばれる。これら技官は、国の附属研究機関(筑波学園都市に多い)で働く研究技官と、霞が関で事務官と一緒に、国会対策・予算業務・法案作成等に携わる行政技官に分けられる(稀だが、事務官で研究職の人もいた)。

 農林水産省には、私ら事務官のほかに農学部出の技官が多数(霞が関で最大の技官数を抱える)いて、「事務官は局長まで偉くなるが、私ら技官は課長までしかなれない」などと恨み節を聞かされたものである。この「技官冷遇問題」は、国会でも議論されたことがある。

<厚生労働省のキャリアたち>

 厚生労働省でも事務方トップの事務次官は事務官しかなれない(国土交通省など、技官が事務次官になれる省庁はなくはないが)。上記の試験区分には「薬学」があり、その合格者(薬学部卒)で薬学技官グループが結成され、厚生労働省の中では、薬務行政に関し一定の強い勢力を持つ。それより力を持ち、法学部等出の事務官グループと張り合うのが医師の資格を有する医系技官集団だ。彼らには、ほかのキャリア官僚のような国家公務員試験は課されず、医師国家試験で「代用」されている。「医学」なんて区分で国家公務員試験を課したら、応募する者などいないだろうという、霞が関にしては極めて常識的な判断があったに違いない。要するに医師免許さえあれば、簡単な採用試験(面接と小論文)のみでキャリア官僚-医系技官になれるのである。よって、患者さんに対応する臨床能力は全く問われない。そのような「ペーパードライバー」ならぬ、医療現場を知らない「ペーパードクター」たちが日本の医療政策を担っている-牛耳っているのである。上記のワクチン価格やPCR報酬の決定に彼らが大きく関与したことは容易に推察される(もちろん、財政再建を至上課題とし、財政出費を減らしたい財務省の思惑が最大だろうが)。