新首相に期待できるか
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の政治・行政論(42)
〈石破さんか小泉さんか〉
日本の新しいリーダーが今月下旬に決まりそうだ。今のところ、小泉進次郎氏と石破茂氏の一騎打ちの様相を呈しているが、ダークホースはいるのだろうか。
年齢や経験の豊富さに鑑みれば、今回は石破さんに勝たせて、小泉さんはまだ若いんだし、という意見は多数あるだろう。日本人的心情からそう思うのは当然だろう。
〈小泉ジュニアは天才政治家?〉
9月7日の会見で、フリーランス記者から「知的レベルの低さ」というかなり強烈な表現で質問を受けるも、見事な返し技を決めたことに称賛の声が上がっている。私もテレビで観たが、すごいなと感じた。まるで台本があって用意された質問ではないかと勘ぐりたくなってしまった。もし台本なしが真実ならば、この進次郎氏、父親譲りの天才的政治家なのかもしれない。はっきり言って、政治家として必要なもの、成功する資質は、学歴や教養ではなく、演説や答弁のうまさであるように思われる。
〈首相になるための経歴の重要性は低下したか〉
石破さんが自民党総裁・首相になれば、閣僚経験や党三役経験から順当そうだが、小泉さんは閣僚の中では軽量の環境大臣くらいしか歴任していない。かつて総理大臣になるには、大蔵大臣や外務大臣といった重量閣僚や幹事長等自民党要職を歴任することが必要条件だったが、最近はそうでもないようだ。
(東大法学部卒弁護士で財務大臣3回など閣僚経験極めて豊富にして順当に自民党総裁になるも野党時代ゆえ首相になれず、その後事故で頚椎損傷した谷垣禎一氏は誠に不運だったと言える。)
故安部晋三氏は、自民党幹事長は務めたが、閣僚としては内閣官房長官くらいしか歴任しておらず、総理大臣以外の⚪⚪大臣にはなっていない。岸田文雄氏は、外務大臣を3回、それと防衛大臣も務めたが、党幹事長は経験していない(政調会長は務めた)。
〈学歴か、ルックスか〉
ついでに、学歴も重要でなくなっている。かつて多かった東大卒首相は民主党政権時代の鳩山氏以来いないし、早稲田大学等私学出身者ばかりとなっている。したがって、入学試験の偏差値の低さなど問題ではないのだ。学歴よりむしろルックスのほうが大事かもしれない。昔の日本の首相は背が低い人が多く、世界の首脳会談に行くといまいち見栄えがよくなかったが、最近は安部さんが175cm、岸田さんが173cmと欧米首脳と並んでも恥ずかしくないレベルになっている。石破さんも小泉さんも身長非公表であまり高くないかもしれないが、若い小泉さんが美貌の夫人(おまけに英語・仏語堪能)を伴って首脳外交する姿を想像すると、少なくとも外見だけは「日本人もかっこよくなったな」と海外メディアに思わせそうだ。
石破さんもいい風貌だと思う。真剣なときの眼光の鋭さはヤクザの親分以上の凄みがあるし、柔和な笑みを浮かべるときは仏顔である。こういう二面性を有することも長年首相候補とされてきた一因かもしれない。