官僚不人気のままでいいのか

・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の政治・行政論(38)

国家公務員総合職(キャリア官僚)志願者の減少、若手・中堅官僚の離職者増加がメディアで報じられるようになって久しい。政府は、官僚の質の低下やマンパワー不足に繋がるこの現象に歯止めをかける有効策を講じているとは言い難い。政策立案等で「政」を支えるべき「官」の担い手の先細り化はどんどん進行してきている。

私が33歳・課長補佐で退官した平成元年の頃(当時の若手離職者は少なかった)は、官庁不祥事もあり、根深い天下り問題などメディアはこぞって官僚バッシングを行っていた。大学を出て「天下国家のために働く」という美しい志を持って憧れの霞が関の一員になるも、1か月の残業が200時間超の「ブラック霞が関」の労働環境に加えて、政治家に忖度し、隷属しなければならない官僚常態から逃げ出したいと思うようになるのは必然だったと今は思う。

それから30年以上も経っても、官僚の労働過重の最大要因となる国会対応が変わっていない。「議員の質問通告に対して官僚が答弁を作り終えた平均時刻は、委員会が開かれる当日の午前3時近くだった」という最近の報道を知り、驚くというかあきれてしまった。一部の議員は「質問通告の速やかさは改善している」というが、本当に労働環境が改善していたら、官僚はもっと「人気の職業」になっているでしょと言いたい。大学生どころか、高校生にまでも外方を向かれ「官僚養成所」東大文一(法学部)の入試難易度まで低下しているらしい。